日本畜産学会報
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育成牛の平均体温に及ぼす環境温度と熱産生量の影響
仲舛 文男Bagus P. PURWANTO山本 禎紀
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1993 年 64 巻 6 号 p. 629-636

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抄録

育成牛の平均体温に及ぼす環境温度と熱産生量の影響について3つの実験を行ない検討した.実験Iは環境温度16,24および32°C下での長時間感作,実験IIは14°Cから36°Cまでの7つの温度条件下での短時間感作および実験IIIは,環境温度15°Cと30°C下における3水準の飼料摂取量(TDN量として62,50および37g/kg0.75 day)を条件として,熱産生量(HP),呼吸数(RR),皮膚温(ST)および直腸温(RT)を経時的に測定して行った.平均体温(Tb)は平均皮膚温(MST)とRTから算出した.実験Iでは,Tbの水準は環境温度により決定され,その日内変動はHPの増減や飲水に影響されることを明らかにした.実験IIでは,環境温度とTbとの相関と直線回帰式を求め,その有意性(p⟨0.01)と環境温度に対するTbの変化率が0.04であることを示した.実験IIIでは,HPとTbとの有意な相関(p⟨0.05)と直線回帰式が両環境温度下で定められることを示し,HP 1 kJ(/kg0.75h)に対するTbの平均変化率が,0.09であることを示した.また,両環境温度下でのRRとTbは有意な相関関係(p⟨0.01)にあることを示した.以上の結果から,高温域においてもTbは体熱平衡の水準と状態を表す優れた生理指標であると判断され,牛に対する温熱作用や防暑効果の判定を行うための欠くことのできない測定項目であると考察した.

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