日本畜産学会報
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中鎖脂肪酸トリグリセリド給与が子牛の血漿成分および繊維消化に及ぼす影響
佐藤 博常石 英作
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1993 年 64 巻 6 号 p. 623-628

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抄録

中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の飼料的利用の可能性を検討するため,育成子牛にMCTを給与して血液成分および飼料消化への影響を調べた.トリカプリリンおよびトリカプリン(C8およびC10のトリグリセリド)が混合(約6:4)しているMCTを用いた.濃厚飼料としてTDNが約70%のC飼料,これを基本にしてMCTを10%添加したM飼料,長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)を10%添加したL飼料を準備し,ホルスタイン種の去勢子牛6頭(7ヵ月齢)を用いて1期3週間のラテン方格で実験した(C, MCT, LCT区とする).各期の第3週の朝給餌の直前と4時間後に採血し,消化試験も行なった.採食前の血漿酢酸,3-ヒドロキシ酪酸(3-HB)濃度(以下,濃度を省略)には区間で差がなかった.採食後には酢酸,3-HBとも上昇し,とくにMCT区では3-HBおよびアセト酢酸(AcAc)が有意に高かった.採食前のグルコースと乳酸には区間で差がなかったが,採食後にはMCT区で低かった,コレステロール(Cho)とHDL-ChoはLCT区のみ高かった.採食後の非エステル脂肪酸(NEFA)およびトリグリセリド(TG)はLCT区で高かったが,採食前には区間で明らかな差を認めず,インスリンにも差をみなかった.NDFとADFの消化率はMCT区で低かったが,CPの消化率には油脂給与による差がなかった.

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