日本畜産学会報
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黒毛和種去勢牛の枝肉形質に及ぼす仕上げ体重,種雄牛および肥育後期濃厚飼料の影響
三津本 充小沢 忍三橋 忠由山下 良弘
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1989 年 60 巻 4 号 p. 351-358

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抄録

黒毛和種去勢牛17頭を用いて,仕上げ体重(550kg, 600kg, 650kg),種雄牛(2群)および肥育後期濃厚飼料(大麦区,トウモロコシ区)の要因が黒毛和種去勢牛の枝肉形質に及ぼす影響について検討した.仕上げ体重が550kgから600kgに増大した時は,全枝肉中で筋肉量は18.4kg,脂肪量は11.4kgそれぞれ増加し,仕上げ体重が600kgから650kgに増大した時は,筋肉量は7.8kg,脂肪量は25.2kgそれぞれ増加した.また,仕上げ体重が600kgから650kgに増大する時には,肥育期間の大幅な延長と総TDN摂取量の増大がみられた.これらの結果から,過剰な脂肪が蓄積される前の生体重600kgまでで仕上げるのが,発育速度や飼料消費量の面からみて効率的であると思われる.種雄牛間ではロース芯の脂肪交雑評点が有意な差を示した.大麦区はトウモロコシ区より筋肉量および骨量ともに大きかった.種雄牛と肥育後期濃厚飼料の種類との間に有意な交互作用が屠殺月齢,総TDN摂取量,1日増体重,冷枝肉重量,枝肉歩留,ロース芯面積および皮下脂肪を除くばらの厚さの各形質において認められ,飼料摂取量や増体速度,枝肉形質に対する肥育後期濃厚飼料の構成内容の影響は種雄牛によって変わり得ることが示された.

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