日本畜産学会報
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5個の切断分離胚の集合によるキメラマウスの性比
大久津 昌治小〓 深桝田 信也
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1988 年 59 巻 10 号 p. 868-873

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抄録

ddY系マウスから採取した8ないし10細胞期胚を2つに切断分離した後,それぞれを5個ずつ集合させ,その後の胚の発生の程度を調べるとともに,これらの集合胚から作出したキメラマウスの性比について検討した.集合胚の98.0%は,培養開始後28~30時間で単一の桑実胚あるいは胚盤胞に発生した.形態的に正常な185個の集合胚を21頭のレシピエントに移植し,妊娠19日目に剖検した結果,18頭のレシピエントが妊娠しており,集合胚の着床率および生存胎児への発生率は,それぞれ63.8%,41.6%であった.性腺の形態から胎児の性を判別したところ,妊娠後期で死亡した胎児1頭を含む合計78頭の胎児のうち,50頭は雄で27頭は雌であった.残りの1頭は,左側に精巣をもち右側に扁平な精巣様の性腺をもつものであった.生存胎児の体重は平均1.34gであり,雄,雌の体重は,それぞれ1.39g,1.25gで雄の方が有意に重かった(p⟨0.05).これらの結果から,キメラマウスにおける性染色体構成と性線の分化との関係を推定した.

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