1986 年 57 巻 2 号 p. 120-125
フィールドの産肉能力記録を用いて,後代検定モデルの種雄牛評価法である同期比較法(CC), "Regressed"最小自乗法(RLS)およびBLUP法について比較検討した.BLUP法については種雄牛間の血縁度を考慮したもの(BLUP-A)とそれを考慮しなかったもの(BLUP-I)の2通りについて検討した.材料としては大分県および鹿児島県における枝肉市場出荷牛それぞれ2,673頭および5,265頭の記録を用いた.それらの種雄牛はそれぞれ28頭および70頭であった.各種種雄牛評価値間の順位相関係数でみる,つまり集団全体としてみると評価値間の相関は最低のものでも0.935であり,いずれの評価法を用いても大きな差異はなかった.しかしながら,BLUP-A以外の方法による評価値に基いて序列づけをすると,1割強の種雄牛で大きく誤った評価をする危険性のあることが示された.以上の結果から,フィールド記録を用いた種雄牛評価にはBLUP-Aを採用すべきであることが示唆される.