日本畜産学会報
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雄鶏の終脳旧線状体による恐れ,闘争,性行動の発現
園田 立信黒崎 順二
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1985 年 56 巻 6 号 p. 476-483

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抄録

鳥類での大脳辺縁系と推測される終脳旧線状体の後内側部の機能を検討するため,この部位を電気的に局所破壊した場合の各種の行動の変化について調べた.(1) 摂食,飲水行動については明らかな変化は認められなかった. (2) 観察者が実験鶏のケージ内に手を挿入した場合(恐れテスト),ほとんどの手術鶏で恐れ反応を示さなかった. (3) 他の雄鶏の頭部をケージ内に入れた場合(侵入者テスト),手術鶏は全てその侵入者を攻撃せず,また多くの手術鶏が侵入者に対して反応しなかった.次に,他の正常な雄鶏と対面させた場合(初対面テスト),多くの手術鶏は相手を攻撃せず,また相手から攻撃をうけても反応しなかった. (4) 正常な雌鶏と対面させた場合(性行動テスト),多くの手術鶏は求愛も乗駕も示さず,さらに雌鶏からの求愛に対しても反応しなかった.(5) 性行動を示さない手術鶏の精巣重量は,偽手術鶏と比べて明らかな差は認められなかった.
以上の結果より,雄鶏の終脳旧線状体の後内側部は,外部からの刺激や相手鶏を認識することによって社会行動を発現させるよう機能していると推測される.

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