日本畜産学会報
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高温環境における放射熱が育成豚の生理反応および生産性に及ぼす影響
吉本 正田中 智夫三村 耕
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1984 年 55 巻 6 号 p. 416-422

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抄録

夏季における放射熱が育成豚の生理反応,生産性に及ぼす影響を明らかにするために,体重約40kgのランドレース種去勢豚を用い,実験1では4頭で35日間,実験2では,6頭で21日間試験を行なった.両実験とも,30°Cに調整した環境調節室に全頭を収容し,中央に断熱板を設置して半数ずつ2群に分け,一方を対照区とした.他方には250Wの赤外線ヒーターを豚の直上からつるし,500kcal/m2•hrの放射熱を1日6時間照射し,これを照射区とした.豚はケージに収容し配合飼料を不断給餌した.
その結果,対照区の直腸温は39.8°C,照射区のそれは40.7°Cであり,1%水準で有意差が認められた.呼吸数は対照区が毎分110回,照射区は164回であり,5%水準で有意差が認められた.放射熱を照射された豚はpanting状態を示した.
日増体量は対照区が456g,照射区が386gであり,5%水準で有意差が認められた.飼料要求率は対照区が3.30,照射区が3.90であった.
以上の結果から,30°Cの暑熱環境は育成豚の生産性に悪影響を及ぼすが,これに放射熱が付加された場合,生産性が,いちじるしく低下することが認められた.

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