日本畜産学会報
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鶏卵胞におけるFSH性性腺刺激ホルモン結合部位の卵胞成長に伴う特性の変化
桝田 信也若林 克己古賀 脩
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1984 年 55 巻 6 号 p. 399-408

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抄録

鶏卵胞のFSH性性腺刺激ホルモン結合部位の特性を,ラットFSHを標識ホルモンとしたラジオレセプタターアッセイ法(RRA)によって検討した.
実験材料としては,卵胞をその成長過程から微小白色卵胞(first phase),白色卵胞(second phase),小型の黄色卵胞(third phase-S stage),中型の黄色卵胞(thirdphase-M stage),大型の黄色卵胞(third phase-L stage)の5グループに分け,前2者については卵胞壁ホモジェネイト(顆粒層および卵胞膜を含む)を調製し,secondphaseおよびthird phaseの卵胞については顆粒層細胞と卵胞膜とに分けて調製し測定に供した.標識ホルモンの受容体への結合は鶏FSHとLHとによって競合的に阻害されたが,高度に精製されたラットLHとTSHとはほとんどその結合に影響を及ぼさなかった.検討したすべての組織にFSH性性腺刺激ホルモンの存在が認められ,顆粒層細胞に対する結合率は急速成長期の初期に増加し,直径約10mmの卵胞において最も高い値を示した.スキャッチャードプロットによる解析によってfirst phase,second phaseおよびthird phaseの卵胞には2種類のFSHに対する受容体が存在すること,および結合部位の解離定数(Kd)は卵胞成長に伴ってほとんど変動しないことが認められた.これらの結果から,卵胞にはその成長過程を通して2種類の結合部位が存在していること,および結合部位は卵胞成長に伴って量的に変動し急速成長期の初期(third phase-S stage)に最高となるが,その親和性はあまり変化しないことが示唆された.

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