日本畜産学会報
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家兎生殖道の収縮運動に及ぼすプロスタグランジンF2α投与の影響
鈴木 裕之堤 義雄
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1981 年 52 巻 11 号 p. 813-822

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抄録

プロスタグランジンF(PGF)投与により加速される卵移動現象を解析するために,交配前後の家兎卵管峡部,子宮ならびに子宮頸の収縮運動に及ぼすPGFの影響を,各器官の内圧変化より検討した.体重1kg当たり2mg(2mg/kg)または5mg(5mg/kg)のPGFを交配前と交配後24または48時間目に皮下注射した,また未交配兎で,初回投与から1時間または2時間後に同量のPGFを再投与して,その影響についても検討した. PGF投与直後,検査した全ての器官で痙攣性収縮が現れ,増強された運動が続いた.また子宮と子宮頸では,収縮運動の基線は変化しないが収縮振幅と頻度が増大する別の反応パターンもみられた.投与前の反応パターンに回復するまでには約2時間を要した.2mg/kgのPGFを投与してから1時間後に同量を投与した場合,子宮にのみ初回投与時と同様の強い収縮が起こったが,2時間後の再投与では,初回投与後に各器官の運動性にみられたと同様の刺激効果が現れた,5mg/kgのPGFを投与してから1時間後または2時間後に再投与した場合は,各器官の収縮運動にはほとんど刺激効果がみられないか(1時間),僅かな刺激効果が引き起こされただけであった(2時間).交配後24時間目にPGFを投与した場合,各器官に強い収縮が引き起こされたが,交配後48時間目に投与した場合はPGFの刺激効果は低かった.以上からPGFの反復投与による効果は投与量と投与間隔によって影響され,またPGFに対する生殖道の感受性は少なくとも交配後48時間目までに低下することが明らかにされた.

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