日本畜産学会報
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牛初乳の酸性ホスフフターゼ
葛谷 泰雄金丸 義敬棚橋 保
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1981 年 52 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

初乳の酸性ホスファターゼはアンバーライトCG-50イオン交換樹脂,セファロース6BおよびCM-せファデックスC-50カラムクロマトグラフィーによって精製され,フラクションI (F1)およびフラクションII (F2)の2成分が得られた.F1は約17,800倍,F2は約6,700にそれぞれ精製された.F1の最適pHは4.9,F2のそれは5.4~5.5であった.F1およびF2の分子量はそれぞれ約54,000および約41,000と推定された.各種化合物の阻害への影響について調べたところ,F1およびF2は共にAg+,F-,Zn2+およびIO4-によって阻害され,金属キレート試薬によってF1およびF2は共にほとんど影響を受けなかった.動力学的研究において,p-ニトロフエニール燐酸塩を基質としてKm値を測定した場合,F1 (pH 4.9)およびF2 (pH 5.5)はそれぞれ0.8mMおよび1.5mMであった.正燐酸およびピロ燐酸塩はF1およびF2に対して拮抗的阻害を示し,フッ化カリウムはF1およびF2に対して非拮抗的阻害を示した.以上の結果からF2は初乳中の白血球に由来することが推測される.

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