日本畜産学会報
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馬のTf蛋白量の一般集団における正常値の分布並びにTfのホモ型とsilent geneの関与するヘテロ型の蛋白量の差異について
横浜 道成桑島 正夫三浦 信義井上 正春茂木 一重細田 達雄中島 剛
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1980 年 51 巻 5 号 p. 336-341

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抄録

馬血清のβ-globuline分画における主成分であるTf蛋白を抗原として著者らが作製した抗Tf血清を用いたときの単円免疫拡散法によるTf蛋白量の定量方法の検討,並びに一般集団における馬Tf蛋白量の正常値の分布について調査を行なうと同時に,Tf蛋白量レベルから正常Tf型とsilentgeneをもったヘテロのTf型との識別を試みた結果,次の如き成績が得られた.1. 32~64倍の抗体価をもつ抗-Tf血清を用いて単円免疫拡散法を行なった場合,抗血清は寒天ゲル10ml当り0.25ml,抗原液の注入量は3μl;また,16×11.5cmのガラス板(20mlの抗血清-寒天液を使用)を用いたときの反応時間は72時間が最適であった.2. 測定した沈降輪の直径の2乗値と抗原量(42.5~340mg/dl)との間には直線関係が認められた.また,測定値の変異係数は1.19%であった.この標準曲線を用いて.馬血清中のTf蛋白量を極めて容易に定量することが可能となった.3. 621例の41歳以上の軽種馬におけるTf蛋白量の正常値は241.4~506.6mg/dlの間に分布を示し,この時の平均蛋白量は352.8mg/dlであった.また,1%水準において,馬のTf蛋白量は正規分布をするとみなすことができた.4. silent geneをもったTf型はTf蛋白量の正常値分布からはずれた低濃度の蛋白量を示し,平均値は198.6mg/dl.で,正常Tf型の平均値に比べ約150mg/dlほど少なかった.よって,技術的には単円免疫拡散法により両型を識別することが可能である.

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