日本畜産学会報
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食肉の燐脂質に関する研究
第4報 牛筋肉組織のプラズマローゲンのアルデヒド組成
中西 武雄須山 享三
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1967 年 38 巻 6 号 p. 262-268

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抄録

食肉の燐脂質の性状を調査する実験の一部として,本実験は肥育をとくに行なわない牛,肥育牛および子牛の咬筋,大腿二頭筋および背最長筋のプラズマローゲンのアルデヒド組成をガスクロマトグラフィーを用いて調査を行なつた.その結果,次のような諸点が明らかとなつた.
1. 燐脂質の脂肪酸とアルデヒドの混合物中,アルデヒドのしめる割合は成牛では咬筋に最も多く,子牛では筋肉別に差がみられない.また,肥育牛と肥育をとくに行なわない牛を比較した場合,肥育牛にはやや少ない傾向にあつた.
2. プラズマローゲンのアルデヒド組成を調査した結果によると,ヘキサデカナールとオクタデカナールが主成分であり,中でもヘキサデカナールが一番多く含まれており,少量のオクタデセナールも含まれていた.
3. 燐脂質の脂肪酸は咬筋に他の筋肉よりC16とC1=18が少なく,C18が多いことをみとめたが,アルデヒドの場合はむしろC16が多く,C18が少ないという結果を得た.しかし,脂肪酸の場合ほど顕著な差が認められなかつた.
4. 成牛と子牛を比較した場合,最も組成に差の大きいアルデヒドはオクタデカナールとオクタデセナールであつた.すなわち,子牛には成牛に比べてオクタデセナールが多く,オクタデカナールは少ない傾向にあつた.

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