日本畜産学会報
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鶏のエネルギー代謝に関する研究
II. 饑餓時の代謝
田先 威和夫桜井 斉
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1964 年 35 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

7~8ヵ月令の白色レグホンの雄を用い,饑餓時におけるエネルギー代謝の測定をおこない,次のような結果を得た.
1. 絶食時における体蛋白質の代謝により,尿中排泄窒素1g当たり5,34lの酸素が消費され,3.96lの炭酸ガスが生成された.このときに発生した熱量は23.48Calである.
2. LUSKの方法およびBENEDICTの方法によつて算出した全発生熱量は,比較的よく一致し,その差は1%前後,またはそれ以下であつた.
3. 饑餓時に,蛋白質および脂肪の分解によつて発生する熱量は,全発生熱量に対して,それぞれ10%および90%内外であつた.
4. エネルギー代謝量は,1日の間で,規則的なリズムをもつて変化することが,明らかとなつた.代謝量は,午前8時~12時に最も高く午後8時~12時に最も低く,そのリズムの中心は,午前および午後の4時前後であつた.
5. 試験前,体重が平衡状態にあつた鶏において,絶食により飼料の発熱効果が消失するには,32~36時間を必要とした.この時期の呼吸商は0.717,酸素および炭酸ガスの熱当量は,それぞれ4.69および6.55Calで,この値は,72時間にいたるまで,ほぼ一定であつた.
6. 絶食第2日の発生熱量は,体重1kg当たり67.15Cal,体重(kg)0.73当たり80.75Calで,絶食第3日には,それぞれ62.98Calおよび73.22Calとなつた.これらを,兼用種の鶏で得られた代謝量と比較すると,それよりも約15%大きい.

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