日本畜産学会報
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カゼイン複化合物の沈降性と組成,特にカルシウムおよび燐含量との関係について
津郷 友吉山内 邦男吉川 純夫
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1962 年 33 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

牛乳中のカゼイン粒子の超遠心分離による沈降性とそのカルシウム,各態燐組成との関係,およびこれに及ぼす加熱の影響,ならびに冷却,酸添加およびカルシウム塩添加がカゼインの沈降性と組成に及ぼす影響をしらべ次の結果を得た.よつても沈降しない.全窒素の沈降性は,85°C30分加
1) カゼインの約11%は,35,000G60分超遠心分離に熱によつて増加するが,少なくともその一部は,カゼインとともに沈降した変性乳清蛋白質によるものと推定される.
2) カゼインのカルシウム/窒素および各態燐/窒素の比は,粒子の大きさが異なつても,ほとんど変わらない.これらの比は,牛乳の加熱によつても変わらない.
3) 乳酸を添加して,pHを6.7から4.6まで下げていくと,カルシウムと無機燐は次第にカゼインから遊離してくる.この際,カゼインの沈降性はpH5.2~5.6で一旦低下する.
4) 塩化カルシウムの添加は,カゼインの沈降性を大にし,同時に沈殿のカルシウム/窒素および無機燐/窒素の比を大にする.この際カゼインに含まれるカルシウム/無機燐の比は,ほぼ一定した値を示す.
5) 冷却によりカゼインの沈降性は減少する.しかし沈殿のカルシウム/窒素および各態燐/窒素の比は,ほとんど変化しない.

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