トマトの主茎, 仮軸, 花序の維管束走向と, 維管束走向に沿った14C-光合成産物の転流経路との関係を調べた.供試材料には, 主茎上で第9葉の上に第1花序を分化した後, 第9節から第一次側枝, 第一次側枝の第3節から第二次側枝, 第二次側枝の第3節から第三次側枝を発生して, それぞれの側枝が3枚の葉の上に花序を分化するとともに, 葉序の回転方向が左右交互に反転している個体を選んだ.その結果, 胚軸では4列, 主茎と仮軸では8列の維管束が認められた.花序軸の基部では4列の維管束が認められ, そのうちの2列は第7葉から主として第2番花または第4番花に連絡している維管束で, 他の2列は第8葉から主として第1番花または第3番花に連絡している維管束であった.第9葉および第1∿6葉から第1花序に直接連絡している維管束は認められなかった.第7葉または第8葉に14CO2を施与した場合, 14CO2施与葉の直下節間で14C-活性が最も高く, その節間の中では14CO2施与葉に連絡している3列の維管束で14C-活性が最も高かった.その他の節間においても14CO2施与葉側の3列の維管束で14C-活性が高かった.第1花序の第1番花と第3番花の花柄では第8葉に14CO2を施与した場合に14C-活性が高く, 第2番花と第4番花の花柄では第7葉に14CO2を施与した場合に14C-活性が高かった.