園芸学会雑誌
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わい性および半わい性台木利用リンゴ樹の葉量生長に及ぼす栽植密度の影響
黒田 治之千葉 和彦
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1999 年 68 巻 2 号 p. 312-320

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抄録

わい性および半わい性台木利用のリンゴ'スターキング・デリシャス'樹の葉量生長に及ぼす栽植密度の影響について検討した.1. 平均個葉面積と平均個葉重は, 各台木樹とも密度の増加に伴って減少する傾向がみられたが, SLAは増加した.2. 個体葉重, 個体葉面積および個体葉数は, 各台木樹とも密度の増加に伴って減少したが, LAIは増加した.3. 個体葉面積(u), 個体葉重(w)およびLAI(F)と密度(ρ)の関係は, 各台木樹とも次のような逆数式によって表すことができた. 1/u=Auρ+Bu (4) 1/w=Awρ+Bw (5) 1/F=Au+Bu/ρ (7)(ただし, Au, Bu, Aw, Bwは樹齢および台木の種類によって変化する係数)4. 幹断面積(θ)と個体葉面積あるいは個体葉重との間には, 各台木樹とも次のような相対生長関係が成立した. u=H′θh (8) w=H″θh (9)(ただし, H′, h′, H″, h″は樹齢および台木の種類によって変化する係数)5. 最適栽植密度(ρopt)におけるLAIを最適LAI(Fopt)と定義すると, Foptは, Foptopt/(Auρopt+Bu) (10)で表される.式(4)と(8)から求めたAu, Buおよび式(3)から求めたρoptを用いて, 式(10)から推計したFoptは台木の種類および樹齢に関係なく, 3∿4の値を示した.6. 1 ha当たり果実収量とLAIとの間には一定の関係がみられなかった.しかし, 1 ha当たり果実収量と単位葉面積当たり果実生産力との間には, 台木の種類および樹齢に関係なく, 有意な正の相関が認められ, 1 ha当たり果実収量が単位葉面積当たり果実生産力に依存していることが示唆された.

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