園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
シカクマメの寒冷地条件下での栽培適応性の検討
遠藤 元庸稲田 委久子上本 俊平
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 62 巻 1 号 p. 155-163

詳細
抄録

シカクマメの高緯度•寒冷地における若莢生産を目的とした栽培適応性の検討を行った.
1.供試材料には,九州大学で選抜された日長不感応性品種の'KUS-8',5KUS-10','KUS-12'および'KUS-101'の4品種を用い,4年間にわたり本学(盛岡市,北緯39。42')研究圃場の露地およびビニールハウス内で試験栽培した.
2.生態的特性調査(1988年)により,播種の適期は5月中•下旬と判断され,本県での栽培適応性をもつ品種として,早生種の'KUS-8'および中生種の'KUS-12'を選抜した.
3.栽培試験(1991年)では,選抜した上記の2品種を供試し,5月21日および5月31日に播種して露地栽培により調査を行った.その結果,1)第1着花節位は,'KUS-12'が'KUS-8'に比べて低かった.2)結莢率は,花房の出現時期および系統により異なり,その率は0.9~27.1%とかなりの範囲で変異が見られた.3)若莢の収穫期間は,52-63日,若莢収量が最も多かった区は,5月21日播種区で10a当たり,'KUS-8'では1,903.5kg,'KUS-12'では1,622.8kgであった.
4.以上から,高緯度•寒冷地におけるシカクマメの若莢生産を目的とした露地での経済的栽培が,十分に可能であるとの見通しが得られた.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top