園芸学会雑誌
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アフリカホウセンカの流通段階における品質保持に及ぼすSTS処理および光環境の影響
土井 元章水野 珠美今西 英雄
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1992 年 61 巻 3 号 p. 643-649

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抄録

アフリカホウセンカ'スーパー•エルフィン•スカーレット'の鉢物を, 出荷前30日間の遮光条件を様々に変えて栽培し, その後小売店舗の条件をシュミレートして, 20°C, 蛍光灯による人工光の部屋に入室した.入室後の品質保持期間はその前後の光条件に影響され,入室前30日の栽培期間中の遮光を60~80%と強くし,入室後は5.50W•m-2の強光下に置いた区で落らいが抑えられ, 品質保持期間が長くなった. この場合, 遮光下で順化した植物の葉では, ハンター表色法によるL×b/|a|の値が小さくなり, クロロフィル含量が増加しており, シュミレーション条件下に入室した後もこれらの値があまり変動しなかった.
出荷時点でSTSの葉面散布を行うと, 0.001mMの濃度であっても, 弱光により引き起こされる落らい防止に効果が認められた. なお, シュートの徒長防止に対しては, STS処理の効果が認められなかった.
また, 入室後の光源として最も強い光強度が得られる三波長域型蛍光灯を用いた場合に, 出荷時にSTS処理を行った株では, 品質保持期間を最大19日にまで高めることができた.

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