動物心理学年報
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ルビーアカヤドリコバチの産卵行動に関する一実験
大串 龍一
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1957 年 7 巻 p. 61-64

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抄録

ルビーアカヤドリコバチはルビーロウムシに寄生する寄生蜂であるが, ルビーロウムシと同じ属のツノロウムシおよびカメノコロウムシにも産卵行動を示すことが知られている。そこで, このコバチにツノロウムシまたはカメノコロウムシだけをあたえると, ルビーロウムシだけをあたえたばあいにくらべて, 供試個体のうちの産卵行動を示す個体の割合, および, 産卵行動を示した個体についても1個体あたりの平均産卵行動回数がいちじるしく少くなる。つまり, 多くの個体は生理的には産卵が可能であるのに, 正常でない寄主を拒否することがわかる。
しかしながら, ツノロウムシまたはカメノコロウムシをルビーロウムシと同時にあたえたばあいにくらべると, これらを単独にあたえたばあいの方がやや産卵個体数が増すようにみえる。それゆえに, 正常な寄主がえられぬばあいには産卵対象をかえて, 別の種に産卵するようになる個体もいくらかはあることが推測される。

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