動物心理学年報
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ネコの観察学習
春木 豊柳瀬 徹夫
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1967 年 17 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

ネコを被験体にし, 観察箱法によりレバー押し反応の観察学習が可能であるかどうかを検討した。その際観察回数の効果, 試行錯誤学習との比較も試みた。結果は観察の効果は認められたといえる。但しそれが完全な反応と報酬との結びつきによるものか, 実験場面への順応によるものか詳細な検討を要する。観察回数は300回と75回の間に差は認められそうもなく, 観察の効果はもっと少ない回数で漸近線に達するのではないかと推測された。観察学習と試行錯誤学習の間には差がみられそうもなかった。そして観察に要した時間と試行錯誤に要した時間を比較すると, 前者の方が短く, 観察学習の方が能率的であることか明らかであった。これらの実験結果は少ない個体数による事例的なものであるため, 今後統計的な詳細な検討を要する。

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