高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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ワークショップ : 謎解き実践講座
この認知症の本態は?
石原 健司
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2022 年 42 巻 3 号 p. 336-342

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抄録

  非典型的な症状, 画像所見を認め, 診断, 症状の解釈に難渋した 6 症例を記載し, 問題点につき考察した。アルツハイマー型認知症と診断した 2 例では, 人の顔がわからないという症状, ジャルゴン失語をそれぞれ認めた。SPECT ではそれぞれ右側頭葉前部, 左側頭葉後部での血流低下を認めた。甲状腺機能低下症で加療中に亜急性に進行する認知機能低下を認めた 1 例は, 橋本脳症と診断し, ステロイド治療にて認知機能の改善を得た。経過中に MRI で前頭側頭葉萎縮を認めた認知症症例は, 剖検で Lewy 小体型認知症と診断した。 ALSの経過中に認知症を呈した 1 例は, 剖検で ALS とアルツハイマー病の合併と診断した。42 歳時に認知機能低下, 性格変化で発症し, MRI でびまん性白質病変を認めた 1 例は, 軸索スフェロイドを伴なうびまん性白質ジストロフィーと診断した。認知症の診断では非典型的な症状, 画像所見を念頭に置く必要がある。

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© 2022 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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