本稿ではパーキンソン病 (PD) 患者のすくみ足に対する cue technique の適用について検討する。 運動には外部刺激をトリガーに運動を開始する外発性随意運動の系と自発的に運動を発動する内発性随意運動の系がある。それぞれの系に対し運動のきっかけを与える外的キューと内的キューという介入方法が存在する。聴覚などの外的キューを利用した介入にエビデンスがあることは広く知られている。しかし, 外的キューも有効である場合とそうでない場合がある。理由の一つとして遂行機能障害との関連が挙げられる。一方, 自発的に運動するタッピングのような, 内的リズム運動は PD 患者で成績が低下している。 内的リズム形成障害に対し, 近年では内的キューの有効性も報告されている。なぜこのような複雑な現象が起きるのか, PD 患者特有の脳のネットワークの代償に基づき考察する。さらに内的キューアプローチに関する我々の研究の一部を紹介する。