精密機械
Print ISSN : 0374-3543
円筒と粗い面の接触
鏡 重次郎山田 国男畑沢 鉄三
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1982 年 48 巻 7 号 p. 873-880

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抄録

円筒と粗い面を接触したときの接触機構を, 接触する個々の突起がその食込み量の大きさによって弾性あるいは塑性接触するという混合接触, また食込み量の大きさによらずすべての突起が弾性接触およびすべての突起が塑性接触するという三つの場合について解析した.炭素鋼の粗い面と円筒試料の両端の角の影響をみるため3種類の円筒試料を用い, 荷重に対する接触幅ならびに近接量の変化について実験的検討を試みた.得られた結果は次のとおりである.
(1) 本実験の範囲内において, 混合接触に基づいて計算した接触幅の大きさと, 弾性および塑性接触に基づいて計算した接触幅の大きさとの間の差異は最大で20%程度であった.同様に近接量の大きさについてはその差異は60%程度であった.測定値は, 接触幅, 近接量の両方の場合とも, 特に混合接触による計算値に合うかどうかの判断は困難であった.
(2) 粗い面に円筒試料を押し付ける場合の接触痕を現出するために, 粗い面にカーボン真空蒸着後すすを被覆する方法を用いた.これによって得られた結果は計算値にかなり近い値になった.
(3) 差動トランスによって種々の荷重に対する食込み量を測定した結果, 定性的に計算値と合うことがわかった.
(4) 円筒試料の角の丸みの大きさを変え, あるいは面取りした3種類の試料については, 接触幅, 近接量ともその測定値間に明白な差異を確認することができなかった.

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© 社団法人 精密工学会
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