精密機械
Print ISSN : 0374-3543
切掻 (磨耗) の機構及其れと被削材料の機械的性質との關係に就いて (其の1)
表層部切削に關する研究 (第2報)
竹山 秀彦
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1949 年 15 巻 173-174 号 p. 45-48

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抄録

(9) 式に於て若しθが大, 即匁物が鈍になり從つてtamδが大となれば第1項は第2項に比し非常に小くなわ, 硬度の項が強調され, 其の極限θ=180°從つてtanδ=∞にては第1項が消失する.之に反し匁物が鋭くなり, 從つてtanδが小になれば第1のみが強調され, 其の極限は純粋切削になるであらう.
更に (9) 式より, 結局引掻量は比切削抵抗hと硬度に關する値pとの兼ね合ひとなる.しかしてhに關しては恩師大越諄博士の御研究より
hEs… (18)
但しEsは勢斷エネルギー, αは比例常數, と云ふ關係があるから, 引掻量は材質の勢斷エネルギーと硬度の兩者により決定出來 (θ一定の時), その兩者が同時に大きくなれば引掻量は小となり, 引掻磨耗が個々の引掻の集合と見れば, 延いては耐引掻磨耗性の増大を意味する夢事になる.故に機械部分に用ひる材料, 及その處理法も, 使用條件と睨み合はせ, その何れの量を強調する事が有利であるかを決定出來るであらう.

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