日本血栓止血学会誌
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特集 自己抗体による出血・血栓:基礎と臨床の現状
特発性血小板減少性紫斑病
山之内 純
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2018 年 29 巻 3 号 p. 281-287

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抄録

要約:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,後天性の血小板減少症で血小板数が10 万/μL以下と定義され,血小板に対する免疫的な機序が原因とされる.その詳細は①血小板特異的な自己抗体のためであり,②巨核球の成熟障害,血小板産生障害のためであり,③ T 細胞を介した血小板破壊のためであると考えられている.これらの病因と考えられるメカニズムが患者それぞれで複雑にからみあって,血小板減少をきたす.また,今回のテーマが「自己抗体による出血・血栓」であるため,ITP における血小板自己抗体の検出法についてもふれる.血小板自己抗体の主要な標的抗原は血小板膜糖蛋白であるが,ITP 患者それぞれで異なり,認識される抗原によって出血症状に違いがあるとの報告がある.そのため,血小板に結合した血小板自己抗体を解析することは重要である.私たちが利用しているPakAuto(GTI, Brookfield, WI)assay の成績について,primary ITP とsecondary ITP それぞれで紹介する.

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