日本血栓止血学会誌
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特集 血小板膜蛋白受容体の基礎と臨床応用
ロイシンリッチリピート蛋白ファミリー
國島 伸治
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2015 年 26 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

要約:ロイシンリッチリピート蛋白ファミリーに属するGPIb/IX/V はGPIIb/IIIa に続いて血小板に数多く発現する巨核球/血小板特異的受容体である.GPIb/IX/V はvon Willebrand 因子(vWF)受容体として一次止血に働くが,血栓止血以外にも幅広い生理的および病理的現象に関わることが明らかになっている.先天性GPIb/IX/V 欠損は重篤な出血症状と巨大血小板性血小板減少症を呈するBernard-Soulier 症候群を引き起こし,vWF 受容体の機能獲得変異は血小板型von Willebrand 病を引き起こす.GPIbα に存在する2 対立遺伝子多型はヒト血小板抗原(HPA-2)となり,血小板輸血不応等の原因となる.また,血小板製剤の低温保存による生体内半減期短縮は,低温暴露によるGPIb/IX/V クラスタリングが原因である.GPIb/IX/V とvWF の結合を標的とした抗血小板薬の開発研究も進行中である.

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© 2015 日本血栓止血学会
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