日本血栓止血学会誌
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組織因子 (TF) 又は Lipopolysaccharide (LPS) によるラットDICモデルの分類と使い分けについて
市野 典朝倉 英策青島 敬二山崎 雅英菅 幸生奥平 真理子森下 英理子斎藤 正典御舘 靖雄水谷 朋恵加藤 みのり宮本 謙一松田 保
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1999 年 10 巻 6 号 p. 451-456

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抄録

動物 Disseminated intravascular coagulation (DIC) モデルは, 組織因子 (TF) または lipopolysaccharide (LPS) 誘発によるものが頻用されているが, 両者は区別されていないのが現状である. 今回, われわれは両DICモデルを作成し, 両モデル間の症状と凝血学的特徴の差異および臨床像との関連について検討した. Wistar 系雄性ラットを用い, TFモデルはTF3.75単位/kgを1時間かけ, LPSモデルはLPS30, 50, 100mg/kgを4時間かけ尾静脈より点滴静注した. 前者は血中 D-dimer の上昇が顕著であり, 後者は血中ATIII活性の低下と臓器障害が目立ち, フィブリン沈着が高度であった. 動物DICモデルの病態は, TFまたはLPSのいずれを用いるかにより大きく異なり, 今後, 動物DICモデルを用いたDIC研究を行う場合の大きな注意点と思われた.

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