超高齢社会での1つの現象に,頭頚部腫瘍患者数の増加がある.頭頚部という咀嚼・嚥下・発音・整容性を担う特異な部位への一連の加療では,治療効果は高く保ちながら,生活の質をも維持するのが他の部位のがん治療に比して難しいことが多い.本稿では,特に頭頚部腫瘍の各療法に挑む患者や家族,医療者を支える立場にある顎顔面補綴医から,患者,家族そして医療者の負担を軽減する効果的な歯科介入の方法,中でも筆者ら顎顔面補綴医が取り組む各種の顎顔面補綴装置を紹介する.医療者同士で共通の認識をもつことで,密で迅速なる連携体制を拡げ,高い治療効果と生活の質の維持の両者の実現につながると確信している.