2021 年 58 巻 3 号 p. 255-261
近年,急性期リハビリテーション医療の有効性が示されており,急性期病院では重症患者を含め,発症早期からの離床を中心としたリハビリテーション治療の機会が増えている.そのため,ICUのリハビリテーション診療における安全管理が求められている.筆者らは意識障害を伴う人工呼吸器管理下であっても,呼吸・循環動態の安定化を確認できれば,骨折などで脊椎や下肢骨格が荷重に耐えられない場合などや,明らかに頭蓋内圧が亢進しているような状態を除き,座位・立位を開始する.覚醒している患者では介助歩行を行う.特に,人工呼吸器管理中の患者に焦点をあてて,ICUで行うリハビリテーション治療の安全管理に配慮した具体的な急性期リハビリテーション診療の進め方を述べる.