2021 年 58 巻 3 号 p. 236-241
医療技術が高度化し,医療安全レベルが高まっているにもかかわらず,医療行為に関連した有害事象,いわゆる医療事故はなくならない.背景には医療と安全の進歩によって,ハイリスク患者が治療対象になるというジレンマがある.安全を単に「事故防止」の視点で捉えるのでなく,医療の質を構成する重要な領域として捉え,医療の質・安全全体を向上させる組織的取り組みが重要である.その手法として,PDCAサイクルに代表されるQuality Improvementがあり,質・安全改善活動を評価するうえで質指標(Quality Indicator)の活用が有用である.リハビリテーション医療と医療の質・安全向上の関連に関し,概説する.