近年,自動車運転者の体調変化に起因した重大事故に対する社会全体の関心が高まっているが,きっかけとなったのは2011年,2012年と相次いだ運転中のてんかん発作が原因とされる事故であった.意識障害を伴うてんかん発作が自動車運転中に生じると重大な事故の原因となるため,本邦では患者が運転の適性を有するためには2年間の無発作期間が必要である.てんかん患者の20~30%は抗てんかん薬で発作が抑制されない薬剤抵抗性てんかんであるが,この中には外科治療が有効なものがあり,海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんはその代表的な疾患である.思春期以降に発症することが多く,外科的治療の発作消失率も高いことを医療従事者は知っておくべきである.