2019 年 56 巻 9 号 p. 690-693
関節軟骨は自己治癒能力が低く,関節軟骨損傷の治療はいまだ困難である.損傷を放置すると高率に変形性関節症へ至ることが知られている.1994年に自家軟骨細胞移植術が臨床応用されて以来,徐々に軟骨再生治療が行われるようになってきた.近年,間葉系幹細胞による軟骨再生医療が注目を浴びている.間葉系幹細胞はさまざまな組織から分離・培養可能であり,軟骨をはじめとするさまざまな組織への分化が可能である.さらに,採取が容易なのに加え,年齢による差が少ないことから,臨床でも使用されるようになってきた.本論文では,間葉系幹細胞を用いた軟骨再生治療を紹介するとともに,われわれが独自に開発した手法も交え解説する.