2018 年 55 巻 12 号 p. 994-996
心血管疾患の発症や進展には自律神経系を構成する交感神経系と副交感神経系の活動のバランスの乱れが密接に関与している.気分を落ち着かせるような音楽は副交感神経系の活動を高める働きをもっており,このような音楽を長期間にわたり繰り返し聴取する音楽療法を標準的な心臓リハビリテーションプログラムに組み込むことで,心血管疾患患者の自律神経系のバランスの乱れに対するリハビリテーション効果を増強できる可能性がある.また,音楽を聴きながら運動を実施すると,運動後の副交感神経活動の減弱を抑制できるため,音楽は運動による心事故を回避する,すなわち運動療法の安全性を高める手段となり得る.