痙縮に対するボツリヌス療法とITB療法の利点,課題について述べた.脳卒中片麻痺に対するボツリヌス療法は,治療手技が容易で施注量を施注筋ごとに変えられる一方,施注量の上限が低いことが課題である.ITB療法はボツリヌス療法で治療が不十分な場合に適応があり,トライアルで効果を確認できる一方,体内にポンプを植え込むことへの患者の抵抗感,手術的加療が必要なことが課題である.脊髄損傷に対するボツリヌス療法は,一部の筋に対して痙縮治療を行えば十分である場合に有効である一方,施注量の上限が低いことが課題である.ITB療法は高度の痙縮に対してもコントロールが可能であり,また歩行可能な場合に細かい投与量調節が可能である.