2010 年 47 巻 2 号 p. 111-119
回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者の転倒に関する大規模データを収集し解析を行った.1,107 名の入棟者中374 名が転倒を経験し,χ2検定にて転倒と関連のあった16 因子が挙げられた.多要因から注目すべき項目を抽出するために16 因子についてロジスティック回帰分析を実施し,入棟時に適確に初回転倒の危険度を予測できるアセスメントシート開発を試みた.有意な8 因子[転倒歴,中枢神経麻痺,視覚障害,感覚障害,尿失禁,中枢神経作用薬,移動手段,認知機能障害]をアセスメントシート項目とした.スコアは10点満点で転倒者(6.4±1.5)が非転倒者(5.1±1.9)に比し高値(p <0.001)であった.リスク1(スコア0~3),リスク2(4~6),リスク3(7~10)に類別すると,各リスクグループ間にKaplan-Meier生存曲線にて差異(p <0.001)を認めた.