リハビリテーション医学
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下位脊髄梗塞の2例
MRI・電気生理検査と機能予後の関連
森野 浩太郎米田 行宏芝崎 謙作喜多 也寸志田渕 正康
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キーワード: 脊髄梗塞, MRI, 電気診断法, 帰結
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2003 年 40 巻 5 号 p. 308-313

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抄録

目的:脊髄梗塞の機能予後を検討した.対象:前脊髄動脈症候群により対麻痺を生じた下位脊髄梗塞の2例(66歳女性,63歳女性).方法:MRIと電気生理検査を経時的に施行した.神経症状はASIA (American Spinal Injury Association)の下肢Motor score(50点満点),Barthel Index (BI)により1年後まで評価した.結果:MRIでは,急性期には円錐部と円錐上部の灰白質と白質に拡がる病巣を認めた.亜急性期には,症例1では梗塞巣は脊髄前角に限局したが,症例2では灰白質全域かち後索にも及んでおり病巣部も造影された.2例ともに腰髄神経前根と馬尾の造影効果を認めた.生理検査では,発症日は後脛骨神経刺激のF波が消失していたが,症例1では3週目,症例2では8週目に再出現を認めた.体性感覚誘発電位では,症例1では8病日には誘発されたが,症例2では56病日でも誘発されなかった.ASIAのmotor scoreは,症例1では発症時2点から1年後33点,10m程度の自立歩行が可能になった.症例2では発症時23点から1年後28点,車椅子と介助歩行の併用に改善した.BIは,症例1は15点から1年後85点,症例2は25点から1年後65点に改善した.考察:亜急性期のMRI所見,電気生理でのF波の誘発再現の時期,体性感覚誘発電位が機能予後に関連している可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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