2022 年 15 巻 1 号 p. 13-22
建築物の解体工事では,壁等の下部を切削してから,外壁を引き倒す転倒工法と呼ばれる工法が用いられている.小規模な現場では,ワイヤーロープ等を用いて人力で引き倒しており,壁等の切削作業中に外壁が転倒し,作業者が被災している.切削作業中の外壁の建物外側への転倒防止には,ワイヤーロープ等を用いているが,外壁の建物内側への転倒防止には,確立された方法はなく,対策がとられていないのが現状である.本研究では,外壁の転倒災害を防止するため,仮設部材を用いた簡便な工法を提案し,実験によりその工法の強度等を検討した.その結果,本研究で提案した工法を用いて,中規模建築物の外壁の転倒を防止できることが分かった.