肺癌
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症例
腸型肺腺癌の1切除例
藤原 晶岩代 望木村 伯子
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 57 巻 6 号 p. 758-762

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抄録

背景.腸型腺癌は,2015年のWHO組織分類および肺癌取扱い規約第8版において肺腺癌の亜型として追加された新しい分類であり,大腸癌肺転移との鑑別が臨床上問題となる.症例.60歳代の男性.15年前に扁平上皮癌に対して右上葉切除の既往あり.検診で胸部異常陰影を指摘され,胸部CTで右下葉に1.5 cm大の結節影を認めた.病変からの擦過細胞診は腺癌の所見で,原発性肺癌と診断し胸腔鏡下に右下葉部分切除術を施行した.組織学的所見で腫瘍は中心壊死を伴う大腸癌類似の乳頭状腺癌で,免疫組織学的にCDX-2陽性,TTF-1陰性,CK7およびCK20は局所的に陽性であったことから,大腸癌の肺転移を疑った.全身精査を施行したが,大腸を含め消化管原発悪性腫瘍は否定されたため,腸型肺腺癌pStage IA2と最終診断した.術後1年現在再発を認めていない.結論.腸型肺腺癌と大腸癌肺転移の鑑別には,免疫組織染色所見だけではなく消化管内視鏡検査を含めた全身精査が必要である.

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© 2017 日本肺癌学会
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