肺癌
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症例
前縦隔に限局発生した髄外性形質細胞腫の1切除例
横山 新太郎林田 良三吉山 康一尾崎 邦博西村 寛
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2014 年 54 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

背景.縦隔に原発する髄外性形質細胞腫は極めて稀な疾患であり,診断,治療に関しては明確な指針が確立されていない.今回,我々は前縦隔に限局発生した髄外性形質細胞腫の1切除例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例.77歳男性.高血圧症,前立腺癌にて近医通院加療中に胸部単純X線写真で異常を指摘され,当院紹介となった.当院初診時の胸部単純X線写真では右上肺野縦隔側に半球状に突出する均一な腫瘤影を認めた.CT-scanでは上大静脈前方にこれと接して境界明瞭,辺縁整,円形,均一な腫瘤を認めた.MRIでは周囲臓器への浸潤所見はなく,分葉構造も確認できなかった.非浸潤性胸腺腫を最も疑い手術を行った.胸腔鏡所見では腫瘍は上大静脈右側で縦隔胸膜下に認めた.胸腔鏡補助下に縦隔胸膜,腫瘍,胸腺右葉を一塊に摘出した.病理組織診断では,異型を伴う形質細胞の増殖を認め,免疫染色においてIgGおよびλ陽性であり,IgA,IgM,κ陰性であった.以上よりIgG型形質細胞腫と診断された.なお多発性骨髄腫の合併はなかった.結論.極めて稀な,前縦隔に限局発生した髄外性形質細胞腫の1例を報告した.

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© 2014 日本肺癌学会
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