肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
持続する肺瘻を伴った悪性胸膜中皮腫の1手術例
河野 朋哉寺町 政美森 英恵遠藤 和夫平林 正孝
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 47 巻 7 号 p. 887-890

詳細
抄録

背景.悪性胸膜中皮腫と気胸の合併は時にみられるが,水気胸を契機に発見された悪性胸膜中皮腫の報告は少ない.今回,検診にて胸水貯留と気胸を指摘され,悪性胸膜中皮腫の診断に至った症例を経験したので報告する.症例.43歳,女性.住民検診で胸水貯留と気胸を指摘され,精査・加療目的で当科へ紹介されてきた.胸腔鏡検査で壁側胸膜に腫瘍を認め,肺の数ヶ所から大量の空気漏出を認めた.腫瘍の生検にて悪性胸膜中皮腫の診断を得たため,右胸膜肺全摘出術を施行した.病理所見で,腫瘍による臓側胸膜の破綻をうかがわせた.術後放射線治療と化学療法を追加したが,25ヶ月後に死亡された.結語.持続する肺瘻を伴った悪性胸膜中皮腫の1例を経験した.40歳以上の気胸では悪性疾患も考慮に入れて精査する必要があると思われた.

著者関連情報
© 2007 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top