肺癌
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症例
肺癌化学療法中に発症したニューモシスチス肺炎の3例
齋木 啓子望月 吉郎中原 保冶河村 哲治佐々木 信西尾 智尋
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 47 巻 3 号 p. 273-276

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抄録

背景.肺癌化学療法中にびまん性陰影が出現することがあり,感染症なのか薬剤アレルギーなのか鑑別に苦慮することがある.症例.我々は肺癌化学療法中に発症したニューモシスチス肺炎を3例経験した.発症時年齢は73歳,72歳,55歳で全例男性であった.ステロイドの長期投与は1例であった.2例は化学療法のみで発症しており,化学療法もニューモシスチス肺炎発症の危険因子と思われた.3例とも発熱を主訴とし,呼吸不全を呈していたのは1例のみであった.画像的には全例淡い濃度上昇をびまん性に認めた.気管支肺胞洗浄液BALF(bronchoalveolar lavage fluid)か喀痰のいずれかでニューモシスチスPCR(polymerase chain reaction)が全例陽性であり,β-D-グルカンの上昇も認めた.スルファメトキサゾール・トリメトプリムST合剤(sulfamethoxazole-trimethoprim)の投与で3例ともに軽快している.結論.肺癌化療中にびまん性スリガラス様陰影が出現した場合,ニューモシスチス肺炎を念頭に置く必要がある.

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© 2007 日本肺癌学会
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