肺癌
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原著
非小細胞肺癌におけるXVIII型コラーゲンの予後因子としての意義
飯笹 俊彦常 浩鈴木 実伊豫田 明渋谷 潔廣島 健三中谷 行雄藤澤 武彦
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2005 年 45 巻 3 号 p. 221-227

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抄録

目的. XVIII型コラーゲンは, 血管新生抑制因子の一つであるエンドスタチンの前駆物質であり, 血管および上皮基底膜を構成する細胞外マトリックス蛋白の構成成分である. 本研究は非小細胞肺癌におけるXVIII型コラーゲン発現の予後因子としての重要性を明らかにすることを目的とした. 対象と方法. 1994~2000年に切除された非小細胞肺癌306例を対象とした. 男女比は215:91, 年齢は31~85歳 (平均64.8±9.8歳). 扁平上皮癌114例, 腺癌179例, 大細胞癌13例. 術後病期I期130例, II期47例, III期113例, IV期16例であった. 抗XVIII型コラーゲン抗体にて免疫染色を行い, 臨床的因子 (年齢, 性別, 組織型, T因子, N因子, 術後病期) との相関ならびに予後を統計学的に解析した. 結果. 抗XVIII型コラーゲン抗体による切除標本の染色結果は, 陰性92例, 陽性119例ならびに強陽性95例であった. 全体の5年生存率は陰性例70.4%, 陽性例56.5%ならびに強陽性例40.3%で, 強陽性群, 陽性群ではいずれも陰性例に比べ有意に予後不良であった (P<0.0001). 多変量解析でも, 免疫染色によるXVIII型コラーゲン発現は独立した予後因子として選択された. 結論. 非小細胞肺癌におけるXVIII型コラーゲンの発現は69.9%の症例に認められ, XVIII型コラーゲンの発現は予後を強く決定づける因子と考えられた.

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© 2005 日本肺癌学会
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