肺癌
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左完全無気肺で発見された高齢女性中枢型肺扁平上皮癌の1例
当関連2施設における女性中枢型肺扁平上皮癌の検討も含めて
小橋 吉博吉田 耕一郎宮下 修行二木 芳人松島 敏春
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2003 年 43 巻 4 号 p. 325-329

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抄録

背景. 女性に発症する扁平上皮癌の大半は末梢発生型を呈し, 中枢発生型は少ない. しかも片側肺が完全無気肺にまで至る症例は稀と考えられる. 症例. 症例は84歳, 女性. 次第に増強する呼吸困難を主訴とし, 胸部X線上, 左完全無気肺を呈し, 当科紹介入院となった. 胸部CTでも左主気管支の途絶像を認め, 気管支喘息の既往歴もあったことから, mucoid impactionによる閉塞機転を考えて気管支鏡検査を施行した. その結果, 左主気管支から上下葉分岐部にかけて白苔を伴う不整な隆起性病変を認め, 経気管支鏡下生検で中枢型肺扁平上皮癌と診断しえた. 結論. 女性患者における片側完全無気肺の症例は散見されるが, こうした症例には中枢型肺扁平上皮癌の鑑別も考慮に入れ, 閉塞機転の原因検索として気管支鏡検査を積極的に施行することが重要と考えられた.

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