肺癌
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肺腺癌細胞におけるCremophor ELによるetoposide (VP-16)の殺細胞効果増強についての検討
須金 紀雄辻野 一郎山崎 哲男高橋 典明赤柴 恒人澤田 海彦堀江 孝至
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2003 年 43 巻 4 号 p. 307-313

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抄録

目的. cyclosporin Aの溶媒として用いられているCremophor ELのetoposide (VP-16) の抗腫瘍効果増強についてヒト肺癌細胞株を用いて検討した. 方法. 細胞生存率の測定には, ヒト肺腺癌細胞株 (PC-14), ヒト類上皮癌細胞株 (KB), ヒト肺小細胞癌細胞株 (H69) に対してgrowth inhibition assayを行った. さらに, PC-14に対してはinvitro clonogenic assayも行った. 各細胞系における抗腫瘍剤の細胞内蓄積量の差を [3H] VP-16を用いて比較検討した. MDR1 (multidrug resistance) 遺伝子の発現に関するmRNAの測定には, 定量的PCR法を用いた. 結果. PC-14において, in vitro clonogenic assayでCremophorELの濃度が250μg/mlの条件下ではVP-16単剤に対して100倍以上の殺細胞効果増強が認められた. VP-16の細胞内蓄積量はPC-14, A549 (ヒト肺腺癌細胞株) において有意な増加が認められた. また, MDR遺伝子のmRNAの増幅はPC-14, A549において認められなかった. 結論. Cremophor ELは肺腺癌細胞におけるVP-16の殺細胞効果を増強し, これはVP-16の細胞内蓄積量の増加が原因と考えられた. そしてこの現象は, MDR遺伝子の発現に関連したものではないと考えられた.

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