肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
CT-fluoroscopic lung biopsyの有用性に関する臨床的検討
中村 浩明
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 36 巻 6 号 p. 775-783

詳細
抄録

近年の “CT発見肺癌” の増加は, 微小病変でさえも可視し, リアルタイムで肺生検が可能なCT-fluoroscopyという新装置の開発を導いた. 本装置は今後これらの症例の確定診断のため広く普及していくものと考えられるが, 著者はその有用性と問題点を検討した. 今回, 21Gの生検針を用いてCT透視下に経皮的肺生検を行い, 同時にTLD (thermoluminescence dosimeter) により術者の手指被曝を測定した. 結果: 本装置使用により径4mm程度の微小病変まで命中させることが可能で, 7例中5例に確定診断がなされ, 合併症として4例に気胸を認めたが処置を要するものはなかった. 術者の利き手の中指, 手背, 前腕で被曝量を測定した. 一例で術者の利き腕中指で, 最高34m SVの被曝量を示した. 以上, 小数例の検討ではあるが本法は微小病変の診断には極めて有用で重大な合併症は認めない. しかし, 術者の手指被爆が予想を超えて多いことより今後その対策が重要な課題になると思われる.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top