肺癌
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検診の普及に伴う肺癌治療成績の向上
小池 輝明寺島 雅範滝沢 恒世青木 正栗田 雄三横山 晶三間 聡塚田 裕子三沢 博人
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1996 年 36 巻 6 号 p. 759-764

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抄録

新潟県肺癌検診システムの変遷より, 肺癌検診開始前の1977年以前を (1) 期, モデル地区検診の1978-1983年を (2) 期, 全県統一検診方式の1984-1987年を (3) 期, 老健法検診開始以降の1988-1994年を (4) 期とした4年代に分け, 当施設で切除した原発性肺癌1592例の治療成績を検討した. 術後5生率は (1) 期34.0%,(2) 期50.4%,(3) 期54.4%,(4) 期57.8%と年代と共に上昇し, その主たる原因は病理1期症例, 特に肺野末梢部最大腫瘍径2.0cm以下症例の増加によると推察された. 発見動機からみると, 小型肺癌の増加は肺癌検診の普及効果と考えられた. 病期の進んでいない症例の増加に伴い, 当施設での肺癌入院症例に対する手術施行率は57.1%に及び, 外科治療成績から換算した肺癌全入院症例の5生率は検診施行前10%以下であったが, 近年には30%を凌駕した.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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