1996 年 36 巻 6 号 p. 753-757
1990年から1992年までの3年間に, 血痰を訴え当院を受診した患者240例を対象に, 全例に胸部X線撮影, 喀痰細胞診を, 185例に気管支鏡検査を施行し, 血痰の原因を検索した. 240例中, 肺癌54例, 喉頭癌1例, 陳旧性肺結核16例, 気管支拡張症11例, 急性気管支炎11例, 上気道炎6例, 中葉症候群6例, 気管支喘息4例, 非定型抗酸菌症4例, びまん性汎細気管支炎3例, 肺炎2例, 慢性気管支炎2例, 肺結核2例, その他4例, 診断確定できなかったもの114例であった. 血痰患者のうち約4分の1が肺癌であり, 肺癌を早期発見するためにも注意深い日常診療, 特に積極的な気管支鏡検査が必要であると思われた.