肺癌
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上大静脈症候群の放射線治療
川波 祥子今田 肇寺嶋 廣美中田 肇
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1996 年 36 巻 6 号 p. 745-752

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抄録

1980年から1995年までに放射線治療を施行した上大静脈症候群38例について検討した. 原因はいずれも悪性腫瘍によるもので, 肺癌が28例 (73.7%) と最も多かった. 治療は通常分割照射で20~70Gy照射し, 30例 (78.9%) で臨床症状の改善が得られた. また, 症状改善は治療開始から平均1.7±0.9週 (3日~4週) と比較的早期から認められ, これに伴いPSも50%の症例で改善した. 全症例の中間生存期間は6.6ヵ月であり胸腺腫の症例以外は長期の生存例は少なかった.しかし生存中にSVC症候群の再発を見たのは1例のみであり, 上大静脈症候群に対する放射線治療はQOLの向上に有用であると考えられた.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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