肺癌
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摘出術後も血清CEA・CA19-9値の持続上昇を認めた原発巣不明肺門リンパ節内腺癌の1例
森田 祐二吉田 和浩原田 尚雄山岸 雅彦森 雅樹阿部 庄作
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1995 年 35 巻 2 号 p. 209-214

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抄録

症例は74歳男性. 特発性間質性肺炎急性増悪の疑いで紹介入院. 入院時の胸部CTで, 左主肺動脈前面に径5cm大の充実性腫瘤を認めた. 腫瘤は#10リンパ節相当部位に位置し, 血清CEAおよびCA19-9値の上昇 (各15.5ng/ml, 429U/ml) を伴っていたことから, 原発性肺癌の肺門リンパ節転移が疑われたが, 肺のみならず全身の他の臓器にも原発巣や転移巣は認められなかった. 入院経過中腫瘤の増大と腫瘍マーカーの上昇がみられたため腫瘤摘出術を施行, 病理組織学的にリンパ節を占拠する腺癌像を認め, T0N1M0の肺腺癌と診断した. 特殊および免疫染色では, Al-PAS, CEAは陽性, CA19-9, SP-A, SP-D, CC10は陰性であった. 高CEA・CA19-9血症については術後も改善せず, 入院7ヵ月後の退院時にはそれぞれ104ng/ml, 1020U/mlまで上昇した.

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