肺癌
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骨シンチグラフィが転移巣の検索に有用であり拡大切除術を行い得た転移性骨肉腫の1治験例
和久 宗明小山 明安野 博大岩 孝司今井 均河端 美則
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1988 年 28 巻 7 号 p. 877-882

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抄録

症例は44才, 男性.38才時に左大腿原発骨肉腫に対して膝上切断術を受けている.4年を経て胸部X線写真上, 緩徐な発育を示す境界明瞭な肺内腫瘤, 胸郭内腫瘤を認め, 骨シンチグラフィにて著明な集積像を同部位に認めるところから骨肉腫の転移としてこれを肺切除, 胸壁部分切除により治療し, 病理学的に骨肉腫の転移であることを確認した.2年後に胸壁, 縦隔, 横隔膜, 後腹膜に広汎に再発を来した.やはり骨シンチグラフィにて強い集積像を認めた.アルカリフォスファターゼ値が異常高値を示した.骨肉腫転移の再燃として残存肺別除, 胸膜全切除, 心膜広汎切除, 横隔膜左半亜全切, 胸壁広汎切除をともなう拡大切除術を施行した.術後, アルカリフォスファターゼ値は正常化した.患者は再切除後2年の現在, 健在であり社会復帰できている.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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